現代文・評論。
高校生になると途端に難しくなる科目の一つであると思う。
中学校でやる現代文よりも文章そのものが難しくなっているし、取り扱うテーマも「近代」「合理化」など、パッと見では想像しづらい、考えづらいものが多い。
加えて試験で出てくる問題の難易度にはムラがある。自分がその問題に合っていることもあれば、合わないこともある。
ゆえに、多くの受験生は「現代文は運ゲー」と決めつけがちである。
確かに、現代文において運要素はある。しかし、全部が全部そうだといえばそれは嘘になる。
今回は、運要素を極力排除し、実力勝負できる現代文・評論読解の「コツ」をまとめてみようと思う。
センターでも2次でも「やばい」現代文
センター試験では最も「ミスるとやばい」科目として全受験生から恐れられる存在が、「現代文」である。
なにがやばいのかと言うと、とにかく配点が高いのだ。
内容理解を問う問題では、一問に7点、8点もの点数が割り振られている。
センターで高得点を取ろうと思っている、または取らなくてはならない人にとってこれは大問題である。
2、3個落としただけで20点近く持っていかれるので、ウッカリしていると思わぬ苦戦を強いられかねない。
現に私は、最難関国公立レベルの同級生が現代文で大失敗して大変な目にあっていたのを目の当たりにしている。
別の視点から見てもセンター現代文はかなり危険な科目である。
これは予備校や学校でよく言われていると思うが、年度ごとの難易度の差が顕著に出る。
比較的読みやすい文章の時もあれば、「えっこれセンターの問題?」と思ってしまうほど厄介な文章の時もある。
これが「現代文は運ゲー」と言われる所以でもある。
受験生の皆はわかる人も多いと思うが、過去問を解いたり模試を解いたりしていると「あの年の評論は簡単だったけどこの年のは全然できなかった」ということが平気で起こる。
私もその一人で、受験生の9月頃にやった模試では現代文の評論・小説ともに満点で調子に乗っていたがその次の模試で3問ほど配点が高い問題を落とし非常に焦った思い出がある。
センターに限らず、私大文系を受験する場合や国公立2次を受験する場合も「現代文のやばさ」は同じだ。
私立文系は難関校になればなるほど、じっくり読んでも全然ぴんと来ない問題が出たりする(早稲田などはその典型である)。
国公立はさらに厄介で、ほとんどが記述式の回答を求めてくる。
選択肢がない分より正確な本文の読解が求められ、また簡潔にまとめる技術が問われる。
結局、現代文にはいくら対策しても本番の「運」と言うものは少なからず関わってくるのだが、ありがたいことに「攻略法」というものがある。
この「攻略法」をきちんと身に着けると、現代文の「運」要素を最低限に抑えることが出来る。
では、実際に現代文を解くコツを見ていこう。
現代文・評論の勉強法・コツとは
評論は小説と違って、風景描写や心情描写は一切問われない(当然であるが)。
評論問題で出てくる文章には必ずテーマがあり、筆者の最も言いたいことがある。
小説とは違って、筆者の主張はモロに本文の中にあるため、実は論の展開自体はわかりやすい場合が多い。
何が評論を難しくしているかと言うと、作者が言いたいことの大半が「抽象化」されているからなのである。
抽象化、とはどういうことか。
ざっくり言えば「物事の本質を抜き出して考える」ということだ。
つまり抽象化された筆者の言いたいことは、その中核部分しか書かれていない。
言い換えれば具体的でないので、「想像しにくい」。
これが難しいのだ。
だがセンター試験レベルの現代文の場合、この抽象化された作者の「言いたいこと」に気付けるよう、その前にある段落である程度「具体的な例」で説明されている事が多い。
つまり、この「具体的な例」と「抽象化された筆者の考え」を結びつけることができれば文章全体の内容をだいたいつかむことが可能になる。
では、どうやって結び付けていくのか。
一番の足がかりとなるのは、「同じような表現をつないでいく」という手法である。
同じような表現が複数回出てくる場合、それはキーワード、キーセンテンスとも呼ばれる。
http://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00009396.pdf&n=%E5%9B%BD%E8%AA%9E.pdf
これは平成29年のセンター試験・国語の評論問題である。
まずは力試しがてら、この問題を解いてみてほしい。
本文は抜粋したが、これだけで解けるようになっている。
答えは出ただろうか。
ではここから、理想的な解答へのアプローチをご紹介する。
さて、このような傍線部問題の場合、まず最初にやるべきは傍線部の含まれた文章とその前の文章を読むことだ。
傍線部が文章の一部分にひかれていた場合、傍線部が含まれる文章全体が重要だという意識で考えることが大切になってくる。
説明だけではわかりにくいと思うので、ちょっと実践してみよう。
傍線部の文を最初から読んでみよう。
「現代の科学技術は、かつてのような思弁的、宇宙論的伝統に基づく自然哲学的性格を失い、せ先進国の社会体制を維持する重要な装置となってきている。」
とある。
今読んでもらった文章の中に「自然哲学」というワードがあった。
この「自然哲学」という言葉、前の段落で出ていなかっただろうか?
そう、最初の行から二行目、「伝統的な自然哲学の一環としての、一部の好事家による楽しみの面が強かった」という部分である。
傍線部が具体化されているのがお分かりいただけただろうか。
傍線部で非常に分かりにくかった「思弁的、宇宙論的伝統に基づく自然学的性格」とは、言い換えれば「一部の好事家による楽しみの側面」のことだと明確に分かる。
ここで一度傍線部の文章に戻ってみよう。この文章では「自然哲学的性格を“失い”」とある。
つまり「一部の好事家による楽しみの側面」が薄れていったことがわかる。
では、薄れていった後の「現代の科学技術」について具体的に書かれている部分はどこにあるのだろうか。
これは簡単である。
三行目の「しかし、十九世紀になると~」以後の文章である。
「しかし」というのは前の文・文脈から逆のことを言うときに使う接続詞であるから、この後に続く文章は必ず「一部の好事家による楽しみの側面」が薄れていった後の話になる。
すると四行目下部に「さらに二十世紀になり、国民国家の競争の時代になると、科学は技術的な威力と結びつくことによって、この競争の重要な戦力としての力を発揮し始める。」とある。
この文章にある「重要な戦力」というのが、傍線部にある「重要な装置」と同義だということに気づけただろうか。
ここにも、同義の意味で繋げられる部分が隠されていたというわけだ。
もしこれに気づけたとしたら、答えはすぐそこだ。
最後に、いままで分かったことをまとめてみよう。
“近代科学は「一部の好事家による楽しみの側面」があったが、それが二十世紀、国家と国家の競争の時代になると、「この競争の重要な戦力としての力を発揮し始める」ようになり、社会体制が維持される。”
これがほぼそのまんま書いてある選択肢がある。
答えは5である。
5の選択肢にはこの傍線部より後の文章の言葉が入っているためちょっと引っかかるかもしれないが、他の選択肢をよく見ればどこかしらトンチンカンなことを言っているので5が正解と分かるはずだ。
①などひっかけの典型で、最初のほうはあっているが後半本文に書いていないようなことを言っている。もちろん×だ。
こんな風にほかの選択肢を見ていくとすぐボロがでるので、他の選択肢のどこが間違っているのかをさがすのも訓練として有効だ。
いかがだっただろうか。これが最も試験での「運ゲー」要素を減らすことができる、効率の良い評論の解き方になる。
今回はセンターを例にとって説明したが、この方法は私大や国公立二次でももちろん使えるやり方だ。
もし今回例に挙げたの問題が論述問題だったとしても、『最後に今まで分かったことをまとめてみよう。』の部分を体裁をととのえて書けばOKだ。
最初は時間がかかったり同義の語を探すのが上手くいかなかったりするが、これは何度かやっていくうちに必ずできるようになる。
評論に頻出する「現代語」の習得が大事!
ところで、今回の例で取り上げた文章に出てきた「現代」とはいつからのことを指す語か、パッと答えられるだろうか。
正解は第二次世界大戦後なのだが、正直日常で使う「現代」という言葉はこれよりもっと短い、ここ10年くらいという感覚ではないだろうか。
これに加え近代、近世といった語もよく文章に登場する。
実は、こう言った評論文によく出てくる語は覚えていないと意味が分からない、文章が読めないといった事態に陥ることがある。現代の言葉で書かれているのにも関わらず、だ。
「現代語」として評論に頻出な語として、トポスだのエントロピーだのカオスだのモダニズムだのといった難解カタカナシリーズ、「ポストモダニズム」のような思想・考え方の語などがある。
こればっかりは知識として持っていないと、文章を読むときかなり苦しい。そのため、古文単語のように単語帳で覚えてしまうのがおすすめだ。
「現代文でも単語かよ」とウンザリの人もいるとは思うが、もしいままで言葉がわからなくて問題が解けなかった、という経験がある人はぜひとも覚えてみてほしい。結果につながってくるはずだ。
まとめ
今回は現代文・評論の効率の良い解き方・コツをまとめた。
何度も言うが現代文は、試験で出る問題に合う・合わないといった運要素が多かれ少なかれ含まれている。
だが今回例でやったような「論理的な解き方」をすれば、実力で勝負できる部分が非常に大きくなる。
現代文で伸び悩んでいる人はぜひ参考にしてみてほしい。
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